まず語りたいのが蓬萊橋のこと。 大井川に架かる全長897メートルの木造橋で、 ギネスにも認定された世界一長い木造歩道橋。 橋を渡るのに100円かかるんだけど、 その価値は十分にある。 欄干が低くて川面が近く感じるから ちょっとしたスリルがあって、 晴れた日に渡ると川の向こうに 牧之原台地の茶畑が一面に広がっていて壮観。 897.4メートルという長さにかけて 「厄なしの長生き橋」なんて呼ばれていたりもする。 明治12年に架けられた歴史ある橋で、 もともとは牧之原台地の茶畑に通う農道として 作られたらしい。 木の板を踏みしめながら歩く感覚が なんとも趣があって好きだ。
島田はお茶の街としても有名で、 牧之原台地の茶園は全国有数の規模を誇る。 ペットボトルのお茶ばかり飲んでいた自分も、 ここに引っ越してからは急須で淹れるようになった。 地元の茶農家さんが直売している深蒸し茶を買うと、 濃い緑色で甘みとコクがしっかりあって 市販のお茶とは全然違う。 新茶の時期になると街全体がお茶の香りに包まれて、 それだけで幸せな気分になる。 お茶受けに地元の和菓子屋さんで買った 黒大奴(くろやっこ)を合わせると最高。 こし餡を黒い羊羹で包んだ島田の銘菓で、 甘さ控えめでお茶との相性が抜群にいい。
大井川鐵道のSLも島田の誇りの一つ。 金谷駅から千頭駅まで走るSLに乗ると、 大井川の渓谷沿いをゆっくり進んでいく。 窓から入ってくる風と石炭の匂い、 レトロな車内の雰囲気が何とも言えない。 地元民だけどたまに乗りたくなるし、 遠方から来た友達を案内すると 必ずテンションが上がってくれる。 奥大井湖上駅で降りると 湖の上に浮かぶような駅のホームから エメラルドグリーンの水面が見えて、 思わず写真を撮りまくってしまう。 最近はトーマス号も走っていて、 子供連れの家族に大人気。
川根温泉にも足を運ぶことがある。 大井川沿いにある日帰り温泉施設で、 露天風呂からSLが走る姿が見えるという なかなか珍しいロケーション。 湯船に浸かりながら汽笛の音が聞こえてくると、 思わず手を振ってしまう。 泉質もよくて肌がすべすべになるから、 リピーターになっている地元民は多い。
普段の食事は地元の食堂に行くことが多くて、 島田は意外とラーメン屋が充実している。 あとは焼津が近いから新鮮な魚も手に入りやすい。 スーパーに並ぶ刺身のレベルが 都会とは段違いに高いのが 静岡に住んでいるありがたみの一つ。 マグロやカツオは特に美味しくて、 家で手巻き寿司をやるとき用に 柵で買ってきて自分で切るのが楽しい。 静岡おでんも地元の味として親しまれていて、 黒いスープで煮込んだおでんに だし粉と青のりをかけて食べるスタイルは 一度ハマるとやみつきになる。
粟ヶ岳という山もハイキングコースとして人気があって、 山頂には「茶」の字が見える植林がされている。 遠くから見ると山腹に大きく「茶」と書いてあるように見えて、 まさにお茶の街のシンボルみたいな存在。 山頂からの眺望は素晴らしくて、 茶畑と大井川と遠くに駿河湾まで見渡せる。
島田髷まつりというお祭りも面白い。 日本髪の一種である島田髷の発祥地ということで、 丸髷を結った女性たちが街を練り歩くお祭り。 華やかな着物姿の行列は見ていて圧巻で、 江戸時代にタイムスリップしたような気分になれる。 文金高島田という花嫁の髪型の名前にも 島田が入っているのは地元の誇り。
大井川の河川敷は広大で、 休日になるとバーベキューやサッカーを楽しむ家族連れで賑わう。 川の水がきれいだから暑い時期は子供たちが水遊びをしていて、 のどかな光景が広がっている。
金谷のほうに行くと昔ながらの茶屋もあって、 団子を食べながらひと休みする時間が結構好きだ。 渋めのお茶と甘い団子の組み合わせはやっぱり強い。
のんびりした街だから車移動が基本なんだけど、 以前は二輪で茶畑の中を走り抜けるのが好きだった。 牧之原台地の上を走ると 左右に延々と続く緑の茶畑が広がっていて、 風を切って走る爽快感は格別だった。 でもここ最近はすっかり乗る機会が減ってしまって、 車庫の片隅に停めっぱなしの状態が続いている。 エンジンをかけないまま放置するのは 機械にとってもよくないし、 そろそろ決断しなきゃいけないなと思っている。
バイク買取の オンライン査定というのを最近知って、 ネットで申し込むだけで概算の金額が出るらしい。 わざわざ遠くの買取店まで走っていかなくていいのは かなり助かるなと思った。 思い出がたくさん詰まった相棒だけど、 乗らないまま錆びさせるよりは 次のオーナーのもとで活躍してもらうほうが きっとあの子も嬉しいはず。
お茶と大井川とSLと蓬萊橋。 島田はのどかだけど魅力に溢れた街で、 ここでの暮らしがとても気に入っている。